サルビアの育てかた
 レイは俺の腕をギュッと握り、真っ直ぐ目を見つめてきた。

「ヒルスも、ゲストとして一緒に踊ればいいのに」
「え?」
「モラレスさんも言ってたよ。単発でもいいから、ステージで一度ヒルスとも一緒に踊りたいって。ツアー中はヒルスはスタジオでのお仕事、お休みでしょう? 私もモラレスさんも、ヒルスが一緒にステージに上がってくれたら良いなって思ってる。絶対楽しいよ」

 目を輝かせながら話すレイの表情は本気だ。
 その話をされた瞬間、俺の身体はアドレナリンが大量に放出されるほどテンションが上がった。

 しばらくレイと同じステージでダンスをしていない。
 信頼しているモラレスさんの希望ということもあって、俺はそれだけで胸が熱くなっていく。
 俺は彼女の目をしっかり離さずに、コクリと頷いた。

「その話、まだ間に合うのか」
「一緒に踊ってくれるの?」
「ああ、踊りたい」

 真上に昇る太陽が、レイの顔を明るくあたたかく照らした。

「嬉しい! それじゃ、明日早速モラレスさんに言っておくね」

 レイは俺の腕をパッと離し、勢いよく胸の中に飛び込んできた。彼女の両手が俺の背中をグッと引き寄せる。
 レイの突然の行動に、俺の心臓はまたもや飛び出そうになった。

「そんなに嬉しいのか」
「当たり前だよ。ヒルスと一緒に踊るのが私の一番の楽しみなんだよ」

 その言葉を聞いた瞬間、俺は歓喜した。心の中で踊り狂うしかないんだ。
< 723 / 847 >

この作品をシェア

pagetop