サルビアの育てかた
 だけど、俺は自分の想いを彼女に伝えられずにはいられない。

「きっとレイはいい母親になる。俺も子供が好きだ。もしもレイとの子供を授かることが出来たら、大切に育てていきたいな……」

 俺の気持ちは先走っていた。この先もずっとずっと彼女と生きていくと本気で信じているから。

 この話を聞いたレイは、じっとこちらを見つめている。しかし、どこか切ない瞳の色に染まっているのは気のせいか?

 それからレイは、静かに口を開くんだ。

「ヒルス」
「うん?」
「それは……無理だよ」
「えっ」

 なぜだろう。レイの声が低い。顔も全然笑っていない。そんな彼女を前にして、俺の体が震え始めてしまう。

 部屋の中は無音であるのに、耳の奥が急激に痛くなる。

「ごめんね、ヒルス。何となく、ヒルスが私との将来を考えてくれているのは分かってた。でもね、私は子供を作れないの」

 レイは何とも切ない顔をしている。
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