サルビアの育てかた
 私は彼を突き放した。将来を真剣に考えている彼に、酷いことを言った。
 気力がすっかりなくなった彼は、まるでしんだようにベッドの上に倒れ込んでくる。

「ヒルス……」
「……」

 声を掛けても、無反応。もう返事が出来ないほど力が入らないんだね。

 ごめんね、ごめんね。たくさん謝っても謝りきれない。
 辛いのは今だけだよ。どうか立ち直って。あなたならきっと大丈夫。私との未来がなくても、幸せになれると信じてる。全部あなたを想ってのことだよ。

 そうやって、決めたと思たはずなのに。
 心は正直だった。
 あなたに触れてほしい、キスしてほしい、抱いてほしい。たくさんの矛盾が、私の感情を取り乱している。

 彼の頭にそっと触れた。いつもサラサラで、金色に輝く彼の髪の毛が心地良い。愛おしい。
 寝転がりながら彼をそっと抱き寄せ、胸の中に包み込む。
 会話なんて何もない。口を閉ざし、静かに彼を抱き締めたまま私は目を瞑る。
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