サルビアの育てかた

 ──ランチタイムに行きつけのバーガーショップに足を運び、俺はシュリンプバーガーのセットを頼む。ロイはその横で、単品でハンバーガーだけをオーダーしていた。俺が「もっと食わないのか」と問うと、ロイは苦笑しながら「今月バイト代がピンチで」なんて苦笑する。

 ロイは今では自立していて、自らアルバイトをしながらスタジオに通っている。親無しなので少なからず国からの援助は出ているようだが、それでもスタジオの費用は全て自己負担なので大変そうだ。

 ロイの頭を軽く叩き、俺は柔らかい口調で言った。

「好きなもの食えよ。俺が出してやるから」
「そんな。いいんですか」
「午後もレッスンがあるんだ。腹が減った状態だと、まともに踊れないだろ」
「ヒルス先生……」

 その時、ロイの目尻が熱くなっているのが俺にも分かった。何度も礼を言われるが、完全にこれは可愛い生徒に対する俺のえこひいきだ。素直に甘えてほしいと思う。
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