サルビアの育てかた
 今の俺は心底ネガティブ思考だ。
 遂にロイは、呆れた顔になる。

「ヒルス先生、ボクがこんなこと言っていいのか分かりませんが。ダンスをしている先生みたいに、前を向いてくださいよ」
「えっ」
「どんなにアップテンポの曲でも、先生は難しいパワームーブもアクロバット技も難なくこなしています。流石プロだなって思うし、今まで長年練習してきた成果ですよね」
「まあ、ダンスは好きでやってきたからな」
「レイさんのことも好きなんですよね。どんなに難しい問題でも、長い間想い続けてきた相手なら乗り越えてほしいです」

 ロイにそんなことを言われてしまった俺は、否定も肯定も出来なくなってしまう。困惑していると、ロイは真顔のまま言葉を繋いでいく。

「生意気な発言をしてごめんなさい。だけどこれだけは……親に捨てられたボクにこそ言わせて下さい。どんなに生みの親とは関係ないと自分に言い聞かせていても、ふとした時に強烈な不快感に襲われる瞬間があります。どうして自分はあんな親の元に生まれてしまったんだろう、と。考えれば考えるほど苦しくなるので、出来るだけ思い出さないようにしているんですけどね。それがなかなか難しいんです」
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