サルビアの育てかた
 ロイの瞳は、切なさで埋め尽くされている。そんな彼を前にして、俺は息が詰まった。

 可哀相だとは思う。どれだけ辛いものなのかと想像すると、やるせない気分になる。
 でも……それはただの俺の思いなだけであって、ロイやレイの気持ちを一から十まで全てを知ることは出来ない。俺は、生まれた瞬間から恵まれた家庭で育ってきたのだから。

 それでも、ロイの話は俺にとっては貴重なものといえる。常に頭の片隅に入れておくべきだ。
 俺はレイの家族であり、義理の兄なのだから。

 息をゆっくりと吐いてから、俺は静かに残りのシュリンプバーガーを口に運んでいく。
 ロイもバーガーに手を伸ばしたその時、彼のスマホが着信音を鳴り響かせた。

「あっ。すみません」
「いいよ、ロイ。出ろよ」
「ありがとうございます」

 ロイはスマホの画面を確認するなり、優しい笑みを溢した。それでもなぜか、溜め息まじりで通話を始める。

「──あー。はいはい、分かったから。レッスン終わるのは夕方だよ。その後すぐに行く。……えっ、またボクに手伝えって言うのか。図々しいなぁ。……ああ、分かったよ」

 会話を済ませると、ロイは通話を切ってスマホをズボンのポケットにしまう。
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