サルビアの育てかた

 ロイの表情と話しかたで、相手が誰なのか俺は察した。

「シスターか」
「はい。今日は孤児院に泊まりに行くんです。何時頃来るのかって。早めに来るなら、夕食の準備手伝えって言うんですよ。全く、シスターに都合よく使われてますよ」

 故意に表情を無にしているようだが、ロイの声だけは明るく聞こえた。そんな様子を見て、俺は何だかあたたかい気持ちになる。

「ロイ」
「はい」
「楽しそうで何よりだ。幸せか?」
「……そうですね、否定はしません。ボクには、帰れる(ところ)がありますから」

 どことなく照れたように視線を逸らすロイは、本当にいい顔をしていた。
 俺もその時、自然と心が和んだ。
< 744 / 847 >

この作品をシェア

pagetop