サルビアの育てかた
バイクから降りて、気が抜けたように俺はその場に立ち尽くす。
周りには幸せそうに肩を寄せるカップルたちが何組か歩いていて、その様子を目に入れるだけで息が苦しくなった。
手も顔も、ありえないほどに凍りついている。レイと手を繋ぎ合わせていれば、俺たちの周りはいつも熱で包まれていた。今の季節がこんなに寒いものだなんて、俺はすっかり忘れてしまっていた。
たった独り立ち尽くす俺は、どうしたらこの凍える身体をあたためられるのかその手段を知らない。どんどん体温が寒空に奪われていき、震えが止まらなくなる。
心をあたためてくれる愛しい人は、俺の隣にはもういない。