サルビアの育てかた
 背を向けていると、後ろから静かにドアの閉まる音がした。さすがの彼も諦めて出ていってしまったようだ。独りになった部屋の中は、一気に寂しさに覆われる。

 今まで家族から愛情をいっぱい注いでもらっていると思ってた。だけど、どこまで信じていいのか、何を受け入れていいのかまるで分からない。

 あの話が本当だとしたら……?

 事実を隠してまで、私を家族として置いておく理由が見つからない。
 まさか、身寄りのない子供が可哀想だから同情しているの? 仕方なく私を引き取ったの? もしそうだとしたら、そんなの要らない。
 自分でもバカだと思う。こんなの、ただの被害妄想だ。
 考えれば考えるほど、私の気持ちはひねくれていった。
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