サルビアの育てかた
 次第に心拍数が上がっていく。俺は彼女に連絡を取ろうと急いでスマホを充電した。少し時間を置いてから電源をオンにすると──レイからのメッセージが何通も届いていることに俺はここで初めて気が付いた。
 十件以上未読になっていて、俺は改めてスマホを弄らないこの性格に後悔する羽目になってしまう。

《ヒルス、いつ帰ってくるの?》
《さっきはごめんね》
《心配だよ。返事ちょうだい》
《どこにいるの?》
《あんなこと言ったから、許してくれないよね》

 数分置きに送信されたレイからのメッセージ。俺はひとつひとつに目を通して首を横に振った。

 どうして肝心な時に俺は……!

 メッセージは数件で終わっていて、その代わり不在着信が何件か入っていた。ボイスメッセージも残されている。
 妙な緊張感が俺の全身を硬直させる。小刻みに揺れる指で、俺はレイからのメッセージを再生した。

『ヒルス……?』

 電話の向こうから、レイの小さな声が聞こえてきた。か細く震えていて泣いているような、そんな声色で。

『ヒルス……怖いよ。今、どこにいるの?』

 一度、メッセージはそこで途切れていた。
 だが、もう一件入っていたのを聞くと、俺の息は数秒止まってしまう。
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