サルビアの育てかた
「しのう? レイ、ほら。一緒に……。あんたはもともと、生まれた時からすぐにしぬはずだったんだから……」
不気味な笑みを浮かべ、悪魔は言葉を乱暴に投げつける。
赤黒の月光に照らされて奇妙に輝いていたのは、悪魔の手の中に握られる一本の包丁──
(逃げろレイ。走れ、離れろ、今すぐに……!)
声が出せない。そう叫びたいのに!
レイは顔を真っ青に染めたまま、震えながら完全に動けなくなっていた。
金切り声を上げて包丁を振りかざし、レイの所に飛びかかっていく悪魔の顔は狂人そのもの。
『私はヒルスのこと大好きだよ』
『だって、凄いよね。私に何かあったら必ず駆けつけてくれるっていうあの約束、守ってくれたでしょう』
いつの日か彼女が向けてくれた言葉が頭の中で蘇る。
そうだ、俺は君との約束を破ったりしない。絶対に。だって俺は、レイのスーパーヒーローだから。
俺の硬直していた身体は、解けたように動くようになった。勢いよく彼女の所へ走り出す。
無我夢中で、悪魔よりも先に速くレイの前に自分の身を投げ出した。彼女に覆い被さり、震える小さな身体を力いっぱい抱き寄せる。
しかしこの僅かな時間。突然、俺の背後に得体のしれない強烈な刺激と、痺れる感覚が駆け巡った。
「……うっ!」
反動で横に倒れていく。彼女の頭が打ちつけられないように、俺は咄嗟に両肘でレイの全身をかばった。
「……ヒルス……!?」
レイが、俺の名を呼んでいる。今までに聞いたことのないくらい焦ったような声だった。
彼女は、俺の瞳をしっかり見つめていた。だけど、なぜだろう。全然笑っていないんだ。
──どうした? なぜ、そんな顔をしているの?
不気味な笑みを浮かべ、悪魔は言葉を乱暴に投げつける。
赤黒の月光に照らされて奇妙に輝いていたのは、悪魔の手の中に握られる一本の包丁──
(逃げろレイ。走れ、離れろ、今すぐに……!)
声が出せない。そう叫びたいのに!
レイは顔を真っ青に染めたまま、震えながら完全に動けなくなっていた。
金切り声を上げて包丁を振りかざし、レイの所に飛びかかっていく悪魔の顔は狂人そのもの。
『私はヒルスのこと大好きだよ』
『だって、凄いよね。私に何かあったら必ず駆けつけてくれるっていうあの約束、守ってくれたでしょう』
いつの日か彼女が向けてくれた言葉が頭の中で蘇る。
そうだ、俺は君との約束を破ったりしない。絶対に。だって俺は、レイのスーパーヒーローだから。
俺の硬直していた身体は、解けたように動くようになった。勢いよく彼女の所へ走り出す。
無我夢中で、悪魔よりも先に速くレイの前に自分の身を投げ出した。彼女に覆い被さり、震える小さな身体を力いっぱい抱き寄せる。
しかしこの僅かな時間。突然、俺の背後に得体のしれない強烈な刺激と、痺れる感覚が駆け巡った。
「……うっ!」
反動で横に倒れていく。彼女の頭が打ちつけられないように、俺は咄嗟に両肘でレイの全身をかばった。
「……ヒルス……!?」
レイが、俺の名を呼んでいる。今までに聞いたことのないくらい焦ったような声だった。
彼女は、俺の瞳をしっかり見つめていた。だけど、なぜだろう。全然笑っていないんだ。
──どうした? なぜ、そんな顔をしているの?