サルビアの育てかた
 レイが一人悩んで家を飛び出し、男に酷いことをされた時、俺は彼女を助けに行くのが少し遅れてしまった。もっと早く駆けつけてあげれば俺も彼女もあそこまで傷つくことはなかったはずだ。
 スクールでレイが酷い嫌がらせをされた時も、彼女は何も話してくれなかった。ずっと悩んでいる時に、俺は支えになってやれなかった。そのことに俺は今でも悔しい思いをしている。
 そしてあの悪魔の存在も。あの女の存在さえなければ、俺たちはあんなにも怖い思いをしなくてよかったのに。これほどまでに痛くて苦しい想いをしなくて済んだはずなのに。

 なぜこうなった? どうして俺は、夢の中(こんなところ)で彷徨い続けているんだ? 俺は巻き込まれただけ、だよな。最初からレイという存在と出会っていなければ、こんなにも息苦しい想いをしなくて済んだはずなんだよな……?

 俺は自分の奥底にある、ほんの僅かな暗い気持ちを見つけ出してしまったようだ。
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