サルビアの育てかた
 ──レイ、どうしてなんだ? 父さんと母さんも、レイがダンスを辞めたことを本当に惜しいと思っている。もちろん俺も。
 ジャスティン先生だって、生徒が一人辞めたことに、あれほどまでに悔しい想いをした経験があるだろうか。
 それにライクもだ。レイとスクールで会えなくなり、かなり落ち込んでいた。俺はあいつが二度とレイに近づけなくなるのは安心要素でもある──が、それよりもやはりレイが辞めたことが未だに信じられない自分がいる。

 俺が詮索すればするほどレイは嫌がり、益々口を閉ざしてしまった。モヤモヤはいつまでも残ったままになる。
 もう、これ以上しつこくしてはダメなんだろう。レイの気持ちが落ち着くのを待つしかない。

 この時は、それが一番だと思っていた。
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