サルビアの育てかた


 スタジオに到着すると、そこでフレアやロイ、ジャスティン先生、そしてモラレスさんが俺たちを出迎えてくれた。

「……ヒルス」

 中心にいたジャスティン先生が最初に口を開いた。優しく俺の肩に手を置き、途端に涙ぐむんだ。

「……よく戻ってきたね。もう大丈夫かい」
「ご心配をお掛けしました。普通に歩けるようになったので、もう平気です」
「それなら良かった。レイも大変だったね」
「いえ。私は彼に付き添っていただけですから」
「……」
「……」 

 たちまちスタジオ内はしんと静まり返ってしまう。誰も何も発しようとしないんだ。こんなに暗い雰囲気、今まで経験したことがない。

 俺はわざと大きな声で、笑いながら話をしようと思った。

「みんな黙るなよ。俺はもう本当に大丈夫なんだぞ?」

 空元気なのが誰にでも分かってしまいそうなほど、俺の顔は引きつっているだろう。自分でも心が苦しい。
 するとフレアが、静かに口を開くんだ。

「無理に笑ったりしないで。見てるこっちが辛くなるわ」
「そんなこと言うなよ」
「ヒルス先生。ボクたちもショックですから、無理しないでください」
「ロイまで何を言うんだ……」

 フレアもロイも、切ない顔をしていた。そんな表情をされると、俺まで心が暗くなる。みんなの前では明るく振る舞おうと決めていたのに。

 やっぱり空元気は良くないな。
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