サルビアの育てかた
 肩がガクガクと震え始めた。すると、レイが優しく背中を擦ってくれる。

「……分かってる。俺だって悔しい。身体は今にも踊りたいってざわついてるのに。自分でも信じられないよ」

 言葉に詰まってしまう。続きを言うのが怖くなった。
 だけど、現実は惨いものであると受け止めなければならない。

「今だって信じてないから。俺は……、俺が、二度とダンスが出来ない身体になったなんて。ありえない話だから……!」

 自分で自分の吐いたこの台詞に胸が痛くなり、涙が溢れてきた。声を抑えようとしているのに、勝手に漏れてしまう。

 格好悪いにも程がある。俺、もう二十七の大人なんだぜ? 何、人前で声を上げながら喚いているんだ。
 だけど、どうしても止められない。
 それほど悔しいから。どうして背中を刺されたくらいで(・・・・・・・・)、こんな後遺症に苦しまなきゃならないんだよ!
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