サルビアの育てかた
 すると横からフレアとロイも口々に言うんだ。

「そうね、あなたのクールなダンスが二度と見られないなんて悲しすぎるわ。もしこの先奇跡が起これば、もう一度格好良く披露してもらうからね!」
「ボクも先生のブレイクダンスが大好きです。無理のない程度に、きっと諦めないでほしいです」

 みんなのそれぞれの言葉が、折れそうだった俺の心を立て直してくれる。そんな気がした。
 仲間たちに俺はフッと微笑んでみせる。

「ありがとう、みんな。……でもそこまで言われるとちょっとプレッシャーかな。もしも俺がダンサーとして復帰出来なかったら、期待を裏切ることになるしな……」
「ええ。その時は今みたいに、鬱陶しいくらい泣き叫んでもらうわよ」
「何言うんだよ、フレア」

 口に手を当てながら相変わらず俺を見てクスクスとフレアは笑う。俺までおかしくなってしまった。

「ははは。そうだね、フレアの言う通り! 悲しい時は大声で泣くのが一番だよ」
「ジャスティン先生まで……」

 先生は愉快にそう言うと、もう一度俺の肩をがっしりと叩いてきた。
 からかわれているのは分かっている。だけどそんな仲間たちの優しさに、俺は胸がいっぱいになった。
 そして彼女が──レイが俺のとなりで幸せそうに笑っているのが目に映る。

 こんなことでめげたりしない。どんなことがあっても前を向いて、幸せになる為に歩んで行くと決めたから。
 良き仲間たちがいて、大好きな彼女がそばにいてくれて、俺はとてつもない幸せ者なんだ。
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