サルビアの育てかた
 その話を聞くと、レイは目を細めた。

「きっと、本当にお姉ちゃんが助けに来てくれたんだね」
「そうだといいけどな」
「そうだよ」

 レイはおもむろに夜空を見上げた。遠目を眺める彼女の横顔は凛々しい。

「リミィがレイによろしくだって」
「お姉ちゃんが私に?」
「ああ。感謝してるって言ってたよ」
「私……お礼言われるようなことしたっけ?」

 真剣に疑問符を浮かべる彼女は戸惑いつつも、何となく嬉しそうだ。

「リミィは生まれる前に天国にいくことになったから。代わりにレイが、父さんと母さんに幸せを分けてくれただろ? おかげで安心したって言ってたよ」
「……お姉ちゃん」

 レイはほのかに瞳を潤わせ、絶えず夜空の向こう側に目を向けている。それから、小さくポツリと呟いた。

「お礼を言いたいのは私の方だよ。素敵な家族に迎え入れられて、数えきれないほどの幸せをもらったから。本当にありがとう……」

 レイは天に向かって想いを伝えている。彼女の気持ちはきっと届いているはず。
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