サルビアの育てかた
「抱き上げてすぐに、レイちゃんは泣くのをやめてしまいました。きっと誰かに助けを求めていたのかもしれません。私は急いでレイちゃんを暖かい部屋に連れていき、警察や救急を呼びました。──お医者様の懸命な治療のおかけで、レイちゃんは一命を取り留めました。ですが、その後は食が細く吐き戻しも多くて本当に大変でした。それに、一切笑いもしないし無表情でいることが多い赤ちゃんでしたね……」
今ではあんなに泣いたり怒ったりバカみたいに笑ったりするレイに、そんな過去があったなんて。受け入れ難い話だ。
しかしシスターがわざわざこんな作り話をする理由なんてないし、なによりも嘘をつくような人ではない。
俺は震える手で口を抑え、呻きたいのを必死に我慢した。
「シスター、レイを捨てた親はどうなったんですか」
「レイちゃんを保護した一週間後、母親は警察に捕まりましたよ。当時十八歳の若い子でした。父親については分からないと、最後まではぐらかしたそうです。自宅でレイちゃんを生んだ後、数週間ほど一人で育てていたようです。ですが……レイちゃんの泣き声に耐えられなくなり、次第に虐待が始まってしまったと……」
「なんだよそれ。レイを生んだそいつの親は何をしていたんだ!?」
顔が熱くなった。なんの罪のない子供に酷い仕打ちをする親が許せなく、俺は思わず声を荒らげてしまった。
シスターに怒りを向けても、なんの意味もないのに。
「その方のご両親は出張が多いそうで、数ヶ月に一度しか家に帰らなかったと言います。その方もお気の毒でしたが、罪のない我が子を虐待してもいい理由にはなりません……」
シスターの肩は震えていた。親から見捨てられた多くの子供を見てきたシスターが、一番悔しい想いをしているのは明白だ。
今ではあんなに泣いたり怒ったりバカみたいに笑ったりするレイに、そんな過去があったなんて。受け入れ難い話だ。
しかしシスターがわざわざこんな作り話をする理由なんてないし、なによりも嘘をつくような人ではない。
俺は震える手で口を抑え、呻きたいのを必死に我慢した。
「シスター、レイを捨てた親はどうなったんですか」
「レイちゃんを保護した一週間後、母親は警察に捕まりましたよ。当時十八歳の若い子でした。父親については分からないと、最後まではぐらかしたそうです。自宅でレイちゃんを生んだ後、数週間ほど一人で育てていたようです。ですが……レイちゃんの泣き声に耐えられなくなり、次第に虐待が始まってしまったと……」
「なんだよそれ。レイを生んだそいつの親は何をしていたんだ!?」
顔が熱くなった。なんの罪のない子供に酷い仕打ちをする親が許せなく、俺は思わず声を荒らげてしまった。
シスターに怒りを向けても、なんの意味もないのに。
「その方のご両親は出張が多いそうで、数ヶ月に一度しか家に帰らなかったと言います。その方もお気の毒でしたが、罪のない我が子を虐待してもいい理由にはなりません……」
シスターの肩は震えていた。親から見捨てられた多くの子供を見てきたシスターが、一番悔しい想いをしているのは明白だ。