サルビアの育てかた
俺は一度、深呼吸して心を落ち着かせる。
「満足に授乳もしてもらえない、泣けばすぐに叩かれる、おむつも数日に一度しか替えてもらえず、沐浴すらまともにしてもらえなかったレイちゃんは、発見当時見るに堪えない可哀想な姿をしていました。それでもわたしは、ひとつだけ希望を捨てきれなかったのです。虐待した親がわざわざ孤児院の前にあの子を置いていったのだから、我が子を助けてほしい、そういう願いが少しでもあったのではないかと」
シスターは暫し間を置き、か細い声で俯きながら言うのだ。
「……でも現実は、優しいことばかりではありませんね。その母親は警察の取り調べにこう話したそうです」
『子供なんて別に欲しくなかった。【アレ】はすぐに泣くし可愛くもない。育てるのが面倒になった。捨てた場所がたまたま孤児院の前だっただけ』
──俺はその話を聞いた途端、頭が真っ白になる。同じ人間とは思えない言い様だ。
そんなクソみたいな人間が、レイの生みの親だなんて!
「満足に授乳もしてもらえない、泣けばすぐに叩かれる、おむつも数日に一度しか替えてもらえず、沐浴すらまともにしてもらえなかったレイちゃんは、発見当時見るに堪えない可哀想な姿をしていました。それでもわたしは、ひとつだけ希望を捨てきれなかったのです。虐待した親がわざわざ孤児院の前にあの子を置いていったのだから、我が子を助けてほしい、そういう願いが少しでもあったのではないかと」
シスターは暫し間を置き、か細い声で俯きながら言うのだ。
「……でも現実は、優しいことばかりではありませんね。その母親は警察の取り調べにこう話したそうです」
『子供なんて別に欲しくなかった。【アレ】はすぐに泣くし可愛くもない。育てるのが面倒になった。捨てた場所がたまたま孤児院の前だっただけ』
──俺はその話を聞いた途端、頭が真っ白になる。同じ人間とは思えない言い様だ。
そんなクソみたいな人間が、レイの生みの親だなんて!