国の擬人化達との同居生活
不思議な夢を見た。
どこかの教会で、女の子が大人達に囲まれている。
十二歳か十三歳くらいで、私とよく似ていた。ドッペルゲンガーという説が頭をよぎるが、私は金髪じゃないので、多分大丈夫。
「嫌!どうしてみんななの!?」
女の子は誰かに訴えかける。しかし、大人達は口を閉じたままだった。
「返して、私の命をあげるから、みんなを生き返らせて、、、」
女の子は床に泣き崩れた。
その時、私の背後から誰かが現れた。
「駄目だよ。そんなこと言っちゃ」
フランスくんだった。でも、服装が違う。私の知ってるフランスくんは白いシャツを着てスッキリしているが、このフランスくんは、ベージュ色のチュニックと呼ばれる服を着ていた。腰回りは深緑色のリボンで結んでいる。
中世ヨーロッパを舞台にしたアニメに出てきそうな服装だ。
「君は、選ばれたから生きているんでしょ?なら、生きなきゃ駄目だよ」
(フランスくん、、、?)
「、、、誰?」
女の子は立ち上がり、訪ねる。
「君の大嫌いなひと(・・)
その表情は、とても、悲しそうに笑っていた。
―――場面が変わった。
今度は部屋でフランスくんと女の子が話していた。長かった女の子の髪は綺麗さっぱり切られている。
「もう駄目だ。今すぐこんなところから逃げよう」
「、、、逃げる場所は、、、どこにあるんですか?」
「何処に行こうとここよりはマシさ!英雄の君を処刑しようなんて、この国は狂ってる、、、」
フランスくんは声を荒らげた。いつも冷静な彼らしくない。
けれど、女の子は首を小さく横に振った。
「ねぇ、シャルル。私達が命を懸けて守ったこの国を、悪く言わないで下さい、、、」
「、、、っ」
つーっと、フランスくんから涙が零れる。
「君は、、、まるで、神様みたいだね」
フランスくんは震える言葉を隠すように、吐き捨てながら目を伏せて言った。
―――女の子の言葉が終わる前に、また場面が変わった。
今度は、焼けた木の前でフランスくんがイギリスくんの胸ぐらを掴んでいた。
広場は灰色の空に覆われ、遠くで鐘が低く鳴っていた。
沢山の群衆のざわめきが耳に突き刺さる。
「何でだよ、、、イングランド、、、」
(イングランド、、、?)
イングランドは確か、昔のイギリスのことだとフランスくんが言っていた。じゃあこれは、、、フランスくんの過去、、、?
フランスくんは怒りを掻き立てられたように、イギリスくんの胸ぐらを掴んでいた。
顔は真っ赤で、震えている。
「何であの子を殺した!答えろ!!あの子は、、、あの子は普通の、普通の女の子だったんだ、、、なのに、、、何故、あの子が、、、」
悲痛な願いだった。聞くだけで、胸が苦しくなる。
それでも、イギリスくんは冷たく目を逸らすだけだった。
「、、、仕方ないだろ。お前の王が!身代金を払わなかったからだろ!!」
「うるさい!!そんなこと、理由になるか!!!」
フランスくんの叫びが広場に響いた。
怒鳴った声が掠れ、喉の奥で潰れた。
イギリスくんの襟を掴んだまま、彼は歯を食いしばる。
「彼女は戦いなんて望んでなかった!!誰よりもこの国を想っていた!!そんな彼女の尊厳をお前は踏み(にじ)ったんだ!!」
「尊厳?はっ、そんなものは幻想だ。あれはただの魔女―――」
イギリスくんの言葉が終わる前に、フランスくんの拳が動いた。
鈍い音。
イギリスくんの頬が弾かれ、灰の地面に血が一滴落ちた。
「お前だって、散々イギリス国民(俺の子達)を殺したくせに」
紺色の瞳が、ぎらりと光った。怒りだけでなく、底に深い疲労と悲しみが混ざっているのが分かる。


「っ、、、!」
気付けば、私はベッドの上にいた。天井の木目が揺れて見える。心臓が、まだ早鐘を打っている。
(今のは、、、夢?)
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