婚約破棄したいなら、それなりの努力をなさいませ?
私はユリアを連れてバルコニーの端っこに移動。
ミオナとエディール王子から表情が見えないようにさり気なく背を向ける。

あ、今ならあっちの窓からパーティー会場へ逃げられるかも…。

と一瞬思ったけどやめておいた。
なんかミオナが地の果てまで追ってきそうな気がしたから。

「ごめんなさい。私の独断で勝手に話をするなんて言ってしまって」

まずはユリアに謝罪する。

「そんな…とんでもございません。聖女様は巻き込まれただけですから」

ユリアは慌てて否定してくれる。
やっぱり彼女は常識人だわ。

「あの…まずは状況確認していいですか?
ミオナ様の話によると、ミオナ様とエディール王子は相思相愛で結婚を望んでいるけど、ユリア様に反対されているということになりますよね。
その理由が、ユリア様がエディール王子に恋心があるからということみたいですが…」

「違います」

きっぱり否定するユリア。

「あ、やっぱり。
私もそうじゃないかなーなんて思ったんですよ。
ミオナ様が勘違いしてるってことですか?」

「そうみたいですね」

「ユリア様が婚約者候補だからミオナ様が嫉妬して、ユリア様を…悪者に仕立て上げようとしているってことですか?」

よくある悪役令嬢婚約破棄ネタみたいに!
というセリフは流石に飲み込んだ。
ああ、本当は言いたいっ!

「う~ん、ちょっと違いますね…」

「違う…?ミオナ様、可愛らしいけど実は策略家で、ユリア様の没落を狙っているのではないのですか?」

「それは完全に違いますね」

ええ!?違うの!!!!

「なんでそんなに驚くんですか…」

「あ、ごめんなさい。期待した展開じゃないのかなーと…」

「何を期待なさっているのでしょうか?」

「ごほん!なんでもありません。
では、どういう状況なのでしょうか…」

危ない危ない。
怒涛の展開に本性が出そうになっちゃった。
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