【番外編】孤高の弁護士と誓いの光 — 未来へ紡ぐ約束
「いただきます!」

二人で手を合わせると、ほかほかと湯気を立てた味噌ラーメンが食卓に並んだ。
トッピングのネギとわかめが湯気に揺れて、いい香りがふわっと立ちのぼる。

「これ、意外とちゃんと出来てない? 俺たち」
隼人が箸を持ちながら、得意げに言った。

「うん、ちゃんと味噌の香りする。すごいよ隼人」
「いやいや、炒めたひき肉のおかげじゃない? ほら、味に深みがあるってやつ」

(それ、私が言ったやつ……)
心の中で笑いながらも、ちょっと誇らしげな隼人の顔を見て、こちらも自然と頬が緩む。

「ところで、紬の職場は最近どう?」
「うん、今のところトラブルもなくて順調かな。新入社員の彼、ちょっと天然だけど真面目に頑張ってて」
「……ああ、あの、やたら紬に懐いてる子犬みたいなやつか」
「うん、そう。ほんとに人懐っこいの。でもね、電話対応も少しずつ慣れてきてるよ」

「そっか、順調そうで何より」
隼人が頷きながら、麺をふーふーと冷ましてすすった。

「隼人は? 最近、裁判とか忙しそうだったけど」
「まあな。でも一区切りついたから、今週は少し落ち着きそう。あとは……」
「インフル?」

「うん。事務所でも出始めてて。隣の席の事務員さん、昨日から休んでる」
「やっぱり来てるんだね……うちの部署でも何人かマスクしてたなぁ」

「紬も気をつけて。ちゃんと寝てる?」
「うん。毎晩あったかくして、ちゃんと毛布かけて寝てる」
「よろしい。先生も安心です」
「何の先生?」

「君の健康管理係」
「ふふ……頼りにしてます」

ラーメンの湯気に包まれながら、自然と笑いがこぼれる。
こうしてただ隣にいて、一緒にご飯を食べて、ぽつぽつと話す時間がたまらなく愛おしい。

(寒いけど、心はずっとぽかぽかしてる)

外の気温はまだまだ真冬だけれど、食卓の上の空気はとてもあたたかかった。
きっと、この人といる限り、寒さも苦じゃない——そんなふうに思った。
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