【番外編】孤高の弁護士と誓いの光 — 未来へ紡ぐ約束
膝掛けを足にかけたまま、紬は静かなリビングでひとりソファに座っていた。
テレビはつけず、ただ部屋の静けさの中で、ぼんやりと時間が流れるのを感じていた。
バスルームの扉が開く音がして、程なくして風呂上がりの隼人がリビングに姿を現す。
湿った髪がまだ少し水気を含み、首にかけた白いタオルが肌に馴染んでいる。
視線が絡んだ瞬間、紬はソファの隣のスペースをトントンと軽く叩いた。
(ここ、空いてるよ)
無言の誘いに、隼人は素直に歩み寄ってきて、そのまま隣に腰を下ろす。
「今日は赤ちゃん、どうして欲しいの?」
くすっと笑いながら問いかけると、隼人はむっとした顔で言い返す。
「赤ちゃんじゃないし」
「じゃあ、なんなの?」
「弁護士」
誇らしげに、けれどどこか幼さを残した声でそう言う隼人に、紬は吹き出してしまった。
「赤ちゃん弁護士ね」
からかうようにそう言うと、隼人はむくれた顔のまま紬に抱きつき、頬をすり寄せてくる。
紬の鼻先に、湯上がりの体から香るシャンプーの匂いがふんわりと届いてくる。
柔らかくて、少し甘い、隼人だけの匂い。
首にかけていたタオルを紬が手に取り、そっと濡れた髪の水滴を拭ってやる。
「ちゃんと拭かないと、風邪引くよ」
その仕草に、隼人は照れくさそうに、けれどとても嬉しそうに、ふっと顔を綻ばせた。
そんな表情を見ていると、紬の心にも自然とぬくもりが広がる。
「隼人くん」
「なに?」
「今日はどんなふうに甘えてもいいけどさ……私を“お母さん”って呼ぶのだけは、やめてね」
紬が真面目な顔でそう言うと、隼人は一拍置いてから――盛大に吹き出した。
「ははっ、さすがにそれはないって」
笑いながらも、隼人の瞳が紬の顔をまっすぐにとらえる。
「つむぎは、俺の大事な彼女だよ」
そう言った隼人の眼差しは、さっきまでの甘えたものとはまるで違う。
優しさを湛えながらも、奥底にある深い情熱が透けて見えるような、妖艶なまでの視線。
そのまなざしに、紬はぎゅっと胸の奥を掴まれたような感覚に襲われた。
何度見つめられても、慣れることなんてない。
この人の中には、まだまだ知らない顔があるんだな、と紬は思った。
テレビはつけず、ただ部屋の静けさの中で、ぼんやりと時間が流れるのを感じていた。
バスルームの扉が開く音がして、程なくして風呂上がりの隼人がリビングに姿を現す。
湿った髪がまだ少し水気を含み、首にかけた白いタオルが肌に馴染んでいる。
視線が絡んだ瞬間、紬はソファの隣のスペースをトントンと軽く叩いた。
(ここ、空いてるよ)
無言の誘いに、隼人は素直に歩み寄ってきて、そのまま隣に腰を下ろす。
「今日は赤ちゃん、どうして欲しいの?」
くすっと笑いながら問いかけると、隼人はむっとした顔で言い返す。
「赤ちゃんじゃないし」
「じゃあ、なんなの?」
「弁護士」
誇らしげに、けれどどこか幼さを残した声でそう言う隼人に、紬は吹き出してしまった。
「赤ちゃん弁護士ね」
からかうようにそう言うと、隼人はむくれた顔のまま紬に抱きつき、頬をすり寄せてくる。
紬の鼻先に、湯上がりの体から香るシャンプーの匂いがふんわりと届いてくる。
柔らかくて、少し甘い、隼人だけの匂い。
首にかけていたタオルを紬が手に取り、そっと濡れた髪の水滴を拭ってやる。
「ちゃんと拭かないと、風邪引くよ」
その仕草に、隼人は照れくさそうに、けれどとても嬉しそうに、ふっと顔を綻ばせた。
そんな表情を見ていると、紬の心にも自然とぬくもりが広がる。
「隼人くん」
「なに?」
「今日はどんなふうに甘えてもいいけどさ……私を“お母さん”って呼ぶのだけは、やめてね」
紬が真面目な顔でそう言うと、隼人は一拍置いてから――盛大に吹き出した。
「ははっ、さすがにそれはないって」
笑いながらも、隼人の瞳が紬の顔をまっすぐにとらえる。
「つむぎは、俺の大事な彼女だよ」
そう言った隼人の眼差しは、さっきまでの甘えたものとはまるで違う。
優しさを湛えながらも、奥底にある深い情熱が透けて見えるような、妖艶なまでの視線。
そのまなざしに、紬はぎゅっと胸の奥を掴まれたような感覚に襲われた。
何度見つめられても、慣れることなんてない。
この人の中には、まだまだ知らない顔があるんだな、と紬は思った。