【番外編】孤高の弁護士と誓いの光 — 未来へ紡ぐ約束
法律事務所から帰社した頃には、すでにオフィスの時計は終業時間を過ぎていた。
しかし社内の空気は慌ただしくも、どこか落ち着きを取り戻しつつあるようだった。

会議室に集まったメンバーを前に、片山が静かに口を開く。

「高森案件について、現状の情報と対応策をまとめた暫定方針を説明する。」

彼は手元の資料を示しながら続けた。

「まず、今回のクレームは集団訴訟に発展する可能性が高いが、現時点で当社の保険契約やサービスに落ち度は一切認められていない。だから、法的な観点からは我々が不利になることはない。」

「ただし、SNSを使った拡散や世論の動きが不透明で、イメージダウンや二次的なトラブルのリスクはある。そこで、情報発信の透明性を高め、誤解を招く表現には即座に対応していくことが重要だ。」

「具体的には、公式声明を速やかに発表し、経緯や当社の対応の正当性を丁寧に説明する。加えて、SNSでのモニタリング体制を強化し、デマや過剰な批判には法的措置を含めて断固たる姿勢で臨む。」

「また、社員への情報共有も徹底し、混乱や不安が社内に広がらないようにすること。顧客対応部署には特に注意を促し、質問やクレームには迅速かつ誠実に対応する。」

片山はメンバーの顔を見渡し、最後にこう締めくくった。

「まだまだ先は長いが、焦らず冷静に、そして法に則った行動を貫けば、必ず乗り越えられるはずだ。みんな、よろしく頼む。」

紬は資料を胸に抱き、改めて仲間の存在を強く感じていた。
何より今は、できることを一つ一つ確実にこなしていくしかないのだ。
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