【番外編】孤高の弁護士と誓いの光 — 未来へ紡ぐ約束
玄関の扉が開く音がして、隼人はすぐに立ち上がった。
「紬?」
返事はない。けれど、その小さな足音だけで、彼女の疲れ切った様子が手に取るように伝わってきた。
リビングに入ってきた紬は、まるで電池の切れかけた機械のようだった。
表情に覇気はなく、目の下には薄く影が差している。
「紬……大丈夫か?」
「……まだ、頑張らなきゃ。もう少しだから……」
その言葉を聞いた瞬間、隼人の胸にチクリと痛みが走った。
その「もう少し」が、もう何日も前から限界を超えていることを、隼人は知っていた。
「ご飯、食べた?」
紬は、そっと首を横に振った。
それを見て、隼人はすぐさま彼女の手を取り、ダイニングの椅子にそっと座らせた。
「何か口に入れなきゃダメだよ」
「……食欲、ないから……」
逃げるように立ち上がろうとする紬の肩をそっと押さえ、もう片方の手で彼女の手を包む。
「いいから、ちょっとだけ。俺が作ったやつ、食べてみて」
そう言って、キッチンからラップに包んだ鮭のおにぎりと、あたためたお茶を持ってきた。
少し冷めてはいるけれど、それでも心を込めて握ったものだった。
「……鮭だ。好きだったろ?」
紬は黙って、おにぎりに手を伸ばした。
小さくひと口、噛む。
その瞬間、ほっとしたように目を伏せた。
けれど、揺れた感情はすぐに溢れそうになる。
隼人は、そんな彼女の様子をじっと見つめながら、静かに言った。
「紬……俺の前では、我慢しないで。辛い時は辛いって言っていいんだよ」
「……」
「いつも俺のこと、そうやって見守ってくれたでしょ? 今度は、俺の番だから」
おにぎりを食べ終えた紬は、急にお茶をぐいっと飲み干し、隼人の隣に座ると、何も言わずにその体に腕を回した。
小さな体が、ぎゅっとしがみついてくる。
まるで「安心させて」とでも言うように。
隼人は何も言わずに、そっとその背中を撫でた。
ただ、温もりを伝えるように──彼女が壊れてしまわないように。
「大丈夫。もう、ひとりで背負わなくていいから」
ぽつりと、彼は呟いた。
その言葉が、彼女の心にちゃんと届いていると願いながら。
「紬?」
返事はない。けれど、その小さな足音だけで、彼女の疲れ切った様子が手に取るように伝わってきた。
リビングに入ってきた紬は、まるで電池の切れかけた機械のようだった。
表情に覇気はなく、目の下には薄く影が差している。
「紬……大丈夫か?」
「……まだ、頑張らなきゃ。もう少しだから……」
その言葉を聞いた瞬間、隼人の胸にチクリと痛みが走った。
その「もう少し」が、もう何日も前から限界を超えていることを、隼人は知っていた。
「ご飯、食べた?」
紬は、そっと首を横に振った。
それを見て、隼人はすぐさま彼女の手を取り、ダイニングの椅子にそっと座らせた。
「何か口に入れなきゃダメだよ」
「……食欲、ないから……」
逃げるように立ち上がろうとする紬の肩をそっと押さえ、もう片方の手で彼女の手を包む。
「いいから、ちょっとだけ。俺が作ったやつ、食べてみて」
そう言って、キッチンからラップに包んだ鮭のおにぎりと、あたためたお茶を持ってきた。
少し冷めてはいるけれど、それでも心を込めて握ったものだった。
「……鮭だ。好きだったろ?」
紬は黙って、おにぎりに手を伸ばした。
小さくひと口、噛む。
その瞬間、ほっとしたように目を伏せた。
けれど、揺れた感情はすぐに溢れそうになる。
隼人は、そんな彼女の様子をじっと見つめながら、静かに言った。
「紬……俺の前では、我慢しないで。辛い時は辛いって言っていいんだよ」
「……」
「いつも俺のこと、そうやって見守ってくれたでしょ? 今度は、俺の番だから」
おにぎりを食べ終えた紬は、急にお茶をぐいっと飲み干し、隼人の隣に座ると、何も言わずにその体に腕を回した。
小さな体が、ぎゅっとしがみついてくる。
まるで「安心させて」とでも言うように。
隼人は何も言わずに、そっとその背中を撫でた。
ただ、温もりを伝えるように──彼女が壊れてしまわないように。
「大丈夫。もう、ひとりで背負わなくていいから」
ぽつりと、彼は呟いた。
その言葉が、彼女の心にちゃんと届いていると願いながら。