【番外編】孤高の弁護士と誓いの光 — 未来へ紡ぐ約束
夜八時――

リビングで資料を整理していた隼人の耳に、不意にガシャンッ!という音が飛び込んできた。

玄関からだった。

「……つむぎ?」

呼びかけながら、慌てて立ち上がる。扉を開けた瞬間、そこにいたのは――

玄関に倒れ込むように座り込んで、鞄を落としたまま、荒い呼吸を繰り返す紬の姿だった。

「紬っ!」

駆け寄り、そっと肩を支える。
体温が異様に高い。
額に触れると、明らかに熱があるのがわかった。

「どうした…熱? 目眩? 倒れるまで……」

「……ごめんね……大丈夫、ただ……ちょっと、目の前が、ぐるぐるして……」

呟く紬の声は、かすれて、震えていた。

「……もういい。何も言うな。今日は仕事のことは全部忘れて」

隼人はすぐに抱き上げるようにして、紬をリビングまで連れていく。

軽すぎる体。
抱きしめるだけで分かる。
どれだけ無理をしていたのか。

「本当に、ごめん……」

胸元で小さく謝る紬の声に、隼人はそっと頬を寄せた。

「謝るくらいなら、ちゃんと休んでくれよ。……俺、もう、紬が倒れるの、見たくない」

その声は怒りでも、咎めでもなかった。
ただひたすらに、痛切な祈りのようだった。
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