【番外編】孤高の弁護士と誓いの光 — 未来へ紡ぐ約束
朝食をゆったりと済ませたあと、チェックアウトまでの時間を使って、ふたりは軽井沢の街を散策することにした。
木々に囲まれたホテルを出ると、空気がほんのり涼しく、夏の終わりを告げる風が頬を撫でた。
「気持ちいい……」
紬が思わず口にすると、隼人は隣で手を伸ばし、そっとその髪を撫でるように払った。
「昨日泣いた名残、残ってない?」
「……ひどい」
顔を真っ赤にしながら、紬は手を伸ばして隼人の腕を軽く叩いた。
その仕草も愛しくて、隼人はくすりと笑った。
ふたりで向かったのは、小さな森の中に佇むガラスの教会。
ステンドグラス越しに差し込む光が、床に美しい模様を落としている。
紬は思わずその光の中に立ち、「きれい……」と小さく呟いた。
「……ここで挙式ってのも、悪くないな」
隼人のぽつりとした言葉に、紬は肩を震わせた。
「は、早いってば、そういうの……!」
「そう? でも、すでに婚約者なんだけど」
そう言って、隼人はいたずらっぽく微笑んだ。
恥ずかしそうに視線をそらす紬の左手には、指輪が確かに輝いていた。
教会を後にしたふたりは、静かな通り沿いの洋菓子店に立ち寄った。
手作りのパウンドケーキやマドレーヌが並び、甘い香りが漂ってくる。
紬は小さなカゴに何点か詰めながら、嬉しそうに隼人に振り返った。
「お土産にしようよ。あかりたちにも」
「……ほんとに仲いいんだな」
「うん。いつか隼人にもちゃんと紹介したいなって思ってた...いつも仕事で会ってるだろうけど」
その言葉に、隼人はふっと目を細めた。
「じゃあ、その時は“彼氏”じゃなくて“婚約者”ってちゃんと紹介してよ」
紬は照れ隠しに小さな袋で隼人の肩をポンと叩いた。
最後にふたりは、湖畔にあるベンチに腰掛けて、店で買ったクッキーとコーヒーを楽しんだ。
蝉の声が遠くでかすかに響く中、湖面に反射する光と、時折吹く風が心地よい。
紬は、目を閉じて深呼吸した。
「……なんだか夢みたい。こんなに幸せでいいのかな」
「いいに決まってる」
隼人の返事は、即答だった。
「これからも、ずっとそうしていくんだよ。俺が、する」
小さな約束のようなその言葉に、紬はそっと隼人の手を握り返した。
時間は静かに、けれど確かに進んでいく。
ホテルに戻る道すがら、ふたりは何度も目を見合わせて、笑い合った。
この旅が、ふたりにとって大切な“始まり”になることを、心のどこかで確信しながら――。
木々に囲まれたホテルを出ると、空気がほんのり涼しく、夏の終わりを告げる風が頬を撫でた。
「気持ちいい……」
紬が思わず口にすると、隼人は隣で手を伸ばし、そっとその髪を撫でるように払った。
「昨日泣いた名残、残ってない?」
「……ひどい」
顔を真っ赤にしながら、紬は手を伸ばして隼人の腕を軽く叩いた。
その仕草も愛しくて、隼人はくすりと笑った。
ふたりで向かったのは、小さな森の中に佇むガラスの教会。
ステンドグラス越しに差し込む光が、床に美しい模様を落としている。
紬は思わずその光の中に立ち、「きれい……」と小さく呟いた。
「……ここで挙式ってのも、悪くないな」
隼人のぽつりとした言葉に、紬は肩を震わせた。
「は、早いってば、そういうの……!」
「そう? でも、すでに婚約者なんだけど」
そう言って、隼人はいたずらっぽく微笑んだ。
恥ずかしそうに視線をそらす紬の左手には、指輪が確かに輝いていた。
教会を後にしたふたりは、静かな通り沿いの洋菓子店に立ち寄った。
手作りのパウンドケーキやマドレーヌが並び、甘い香りが漂ってくる。
紬は小さなカゴに何点か詰めながら、嬉しそうに隼人に振り返った。
「お土産にしようよ。あかりたちにも」
「……ほんとに仲いいんだな」
「うん。いつか隼人にもちゃんと紹介したいなって思ってた...いつも仕事で会ってるだろうけど」
その言葉に、隼人はふっと目を細めた。
「じゃあ、その時は“彼氏”じゃなくて“婚約者”ってちゃんと紹介してよ」
紬は照れ隠しに小さな袋で隼人の肩をポンと叩いた。
最後にふたりは、湖畔にあるベンチに腰掛けて、店で買ったクッキーとコーヒーを楽しんだ。
蝉の声が遠くでかすかに響く中、湖面に反射する光と、時折吹く風が心地よい。
紬は、目を閉じて深呼吸した。
「……なんだか夢みたい。こんなに幸せでいいのかな」
「いいに決まってる」
隼人の返事は、即答だった。
「これからも、ずっとそうしていくんだよ。俺が、する」
小さな約束のようなその言葉に、紬はそっと隼人の手を握り返した。
時間は静かに、けれど確かに進んでいく。
ホテルに戻る道すがら、ふたりは何度も目を見合わせて、笑い合った。
この旅が、ふたりにとって大切な“始まり”になることを、心のどこかで確信しながら――。