【番外編】孤高の弁護士と誓いの光 — 未来へ紡ぐ約束
いつも通り、落ち着いた足取りで企業法務の定例訪問。
今朝はクライアントの一社、紬の勤務先であるアーバンライフと社内コンプライアンスの定期打ち合わせだ。
受付を抜け、社内の廊下を進む隼人は、ふと――違和感を覚えた。
(……なんだ、このざわつきは)
明らかに視線が多い。
ヒソヒソと囁かれる声。
だがそれが、自分に向けられているとはまだ気づいていなかった。
「おお、一条先生!」
軽やかな声に振り返ると、片山が笑いながら近づいてくる。
「このたびはおめでとうございます! うちの成瀬を、どうぞよろしくお願いします」
「……え? どうしたんですか、片山さん」
まさかの祝辞に戸惑いを隠せず聞き返す。
片山は目を細め、茶目っ気たっぷりに言った。
「どうしたって……社内、もう一条先生と紬さんのことで持ちきりですよ。さっきから職場の女子が、左手見た? ダイヤでかくない!? とか言ってて」
その言葉に、隼人は小さく息を吐き、ふと天井を見上げる。
数秒、目を閉じて――心の中で紬の顔を思い浮かべた。
(……そうか。あの子、職場でも指輪、つけてるのか)
静かに笑いを浮かべながら、隼人は片山に軽く頭を下げた。
「ありがとうございます。やっと、社内のざわつきの理由がわかりました」
「いやいや、うれしいニュースですって。成瀬さん、普段は堅いけど、最近表情が柔らかくなっててさ。みんな気づいてましたよ。……で、これでうちの会社の法的武装は完璧だ~!」
と、片山は大げさに手をひらひら振って去っていく。
その後も、打ち合わせへ向かう廊下の途中、社員たちがすれ違いざまにそっと視線を送ってきたり、控えめに会釈してきたり――
(まったく……あの子の“破壊力”は、職場でも絶大だな)
そう思いながらも、口元は自然とほころんでいた。
今朝はクライアントの一社、紬の勤務先であるアーバンライフと社内コンプライアンスの定期打ち合わせだ。
受付を抜け、社内の廊下を進む隼人は、ふと――違和感を覚えた。
(……なんだ、このざわつきは)
明らかに視線が多い。
ヒソヒソと囁かれる声。
だがそれが、自分に向けられているとはまだ気づいていなかった。
「おお、一条先生!」
軽やかな声に振り返ると、片山が笑いながら近づいてくる。
「このたびはおめでとうございます! うちの成瀬を、どうぞよろしくお願いします」
「……え? どうしたんですか、片山さん」
まさかの祝辞に戸惑いを隠せず聞き返す。
片山は目を細め、茶目っ気たっぷりに言った。
「どうしたって……社内、もう一条先生と紬さんのことで持ちきりですよ。さっきから職場の女子が、左手見た? ダイヤでかくない!? とか言ってて」
その言葉に、隼人は小さく息を吐き、ふと天井を見上げる。
数秒、目を閉じて――心の中で紬の顔を思い浮かべた。
(……そうか。あの子、職場でも指輪、つけてるのか)
静かに笑いを浮かべながら、隼人は片山に軽く頭を下げた。
「ありがとうございます。やっと、社内のざわつきの理由がわかりました」
「いやいや、うれしいニュースですって。成瀬さん、普段は堅いけど、最近表情が柔らかくなっててさ。みんな気づいてましたよ。……で、これでうちの会社の法的武装は完璧だ~!」
と、片山は大げさに手をひらひら振って去っていく。
その後も、打ち合わせへ向かう廊下の途中、社員たちがすれ違いざまにそっと視線を送ってきたり、控えめに会釈してきたり――
(まったく……あの子の“破壊力”は、職場でも絶大だな)
そう思いながらも、口元は自然とほころんでいた。