【番外編】孤高の弁護士と誓いの光 — 未来へ紡ぐ約束
軽井沢の風が少し恋しくなるような、澄んだ秋の朝だった。
隼人は、職場への足を少し遅らせ、静かなビルの一角にあるジュエリーショップへ向かっていた。

数週間前、仕事の合間を縫って二人で選んだ結婚指輪。
特注のため仕上がりが入籍直前になっていたのだ。

店内に一歩足を踏み入れると、控えめな照明に磨かれたガラスケースがきらりと光る。
すぐにスタッフが微笑みを浮かべて出迎えた。

「お待たせしました、一条様。おふたりの指輪が仕上がっております」

差し出された小さなボックスを、隼人は両手で丁寧に受け取った。
緩衝材のシルクを開いた瞬間、淡いピンクゴールドのリングが、朝陽のように温かい光を放つ。
内側には、ふたりのイニシャルと今日の日付――"H & T, 2025.9.23"が、繊細に刻まれていた。

「……やっとこの日が来たな」

思わずつぶやく声が低く響く。
いつも冷静な彼の瞳が、この瞬間だけはほんの少し熱を帯びていた。
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