【番外編】孤高の弁護士と誓いの光 — 未来へ紡ぐ約束

ふたりの名前が、並ぶ日

入籍手続きは、区役所の静かな窓口で進められた。
平日の午前中。
並んでいる人もまばらで、特別なことをする自分たちが、妙に浮いて見える。
だがそれでも――この日を選んだのは、紬の誕生日と、ふたりの「これから」のスタートが重なるように。

職員に促され、まずは隼人がペンを手に取る。

書類の欄に視線を落とす。
「夫 一条 隼人」――そこは変わらない。

そして次に、紬の欄。
「妻 一条 紬」

見慣れた名前が、自分の姓と一緒になる――ただそれだけのことが、こんなにも心を震わせる。

その隣で紬も、少しだけ緊張した面持ちでペンを走らせていた。
まるで、長い旅路の地図に、ふたりで最初の印を打つような気持ちだった。

「……書けた」

と、小さく呟いた紬がこちらを見上げる。
隼人は無言で頷き、彼女の左手をそっと取った。
新しい名字の署名と同じくらい、今日からはこの手を、永遠に離さないという意志があった。

「これで、正式に"夫婦"だな」

言葉にした瞬間、その響きに紬がふっと笑った。

「うん……。なんか、不思議。でも、すごく嬉しい」

指先にそっと結婚指輪を滑らせながら、隼人は心の中で一つだけ誓った。
何があってもこの手を離さない。
この名前を、共に背負って生きていく。

この朝が、人生の中で永遠に焼きつくものになると、ふたりは知っていた。

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