【番外編】孤高の弁護士と誓いの光 — 未来へ紡ぐ約束
静寂のなか、扉がゆっくりと開いた。

紬は真っ白なウエディングドレスに身を包み、ベールの奥からまっすぐに前を見つめていた。
長いバージンロードの先、祭壇の前には隼人が立っている。
変わらぬ冷静な表情をしているようで、その目だけがほんのわずかに潤んでいた。

チャペルに差し込む冬の光が、彼女のドレスに反射して、まるで雪解けのような柔らかい輝きを放っていた。
一歩、一歩、彼女が進むたびに、空間が温まっていくようだった。
見守る人々の瞳に、感動と静かな喜びが浮かぶ。

彼女が隼人のもとに辿り着くと、隼人はそっと彼女の手を取り、小さく囁いた。

「ようこそ、僕の人生へ。」

紬は目を細め、静かにうなずく。
その瞬間、式の前の張り詰めた空気がふわりと和らいで、冬の冷たさすら忘れてしまいそうだった。

ふと紬は祭壇の上から、出席者たちの顔ぶれを見渡した。
それぞれが、それぞれの人生の中で、“誰か”と向き合い、ゆっくりと歩んでいる。
誰もが、この日を祝うだけでなく、自らの幸せを再確認しているような…そんな不思議な空気があった。

彼女はそっと隼人の手を握り直し、胸の奥に広がる感謝と幸福を、言葉にならないままに届けた。

誓いの言葉を交わす直前の、永遠にも感じられる静寂。

しんしんと降り積もる雪の向こうで、これからの人生が静かに、けれど確かに始まろうとしていた。
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