幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】
紅茶のカップを握っていた私の手を梶井さんが触れて、カップをソーサーに置かせた。

「そうやって深月のことも男として意識しないようにきたわけだ」

「意識をする余地がなかっただけです」

「さすがに同情するな」

梶井さんは笑った。
からかうように長い指がするりとスカーフをほどいた。
しまった!と思った時にはもう遅い。
その目が大きく見開かれる。
梶井さんが近寄り、ぎしっとソファーがきしんだ音をたてた。

「深月か」

赤い痕が残っているのを見られて顔が赤くなった。

「こっ、これは」

「あいつは悪い男だな」

こんなに痕をつけてと指で痕をなぞられ、ぞくっと背筋に寒気がはしった。
反射的に体を後ろに逃がすと両手を掴まれた。

「これが嫉妬ってやつか」

梶井さんが近寄ると彼の香りが濃くなり、頭がクラッとした。
黒く深い闇色の目が逃げることを許さない。
キスされる―――!
脳裏に逢生の顔が浮かんだ。

「あ、逢生っ!」

名前を呼んだ瞬間、梶井さんが手を離した。

「深月は君のナイトか」

梶井さんはおかしそうに笑っていた。
その顔を見て自分が試されたことを知る。
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