幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】
消し忘れかなとも思ったけど、逢生の大きな靴が玄関にある。
私より身長が低かった逢生だけど、昔から足だけは大きかった。
それだけ、逢生が私より大きくなるってことだったのに私は何も気づいてなかった。
逢生がそばにいるのが当たり前だったから。
リビングは暗い。
部屋にいるのかなと思いながら、ドアを開けた。
逢生はいた。
いたけど―――
夕暮れの日差しが床を赤く染める中、窓に寄り添ってぼんやりと窓の外を眺める逢生。
電気もつけずに薄暗い中、一人いる逢生の姿は子供の頃の逢生に重なって見えた。
逢生は昔、ああしてよく窓の外をぼんやり眺めていた。
暗い目をしていたのが気になって、強引に逢生を私の家にひっぱっていった。
私の家で過ごす逢生は嬉しそうで明るい表情をするから―――

「ただいま、逢生……」

なんだか様子がおかしい?
ぴりぴりとした緊張感を感じる。

「おかえり、奏花」

逢生の手にはスカーフが握られていた。
それは私が梶井さんと会った時、身に着けていたスカーフだった。

「あの、逢生……」

「これ、梶井から渡された」

逢生は立ち上がり、私の手にスカーフを渡す。
< 140 / 213 >

この作品をシェア

pagetop