幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】
何事もなかったかのように。
私のことなんてもうどうでもいいの?
普通に渡せるくらいの気持ち?
泣きそうになって逢生の顔を見た。

「奏花?どうして、泣いて……」

「少しくらい悔しい顔してみなさいよっ!」

逢生が驚き、目を見開いていた。
自分がすごく理不尽なことを言っているのはわかってる。
なにそれって思う。
だって、逢生に嫉妬してよって言ってるようなものだったから。

「いつも私、逢生に負けたような気分になる」

「奏花が俺に負けたことなんか一度もないよ」

「わかってるわよっ!私が勝手に逢生のことライバル視してただけってことくらいっ」

逢生はきょとんとした顔をしていた。

「ピアノも勉強もスポーツも全部、逢生に追い抜かれちゃったし。一人で留学だって決めて……だから、私はもう逢生に必要ないって思ってた」

いつもと違うと逢生は気づいたのか、私にそっと寄り添って自分の手で涙をぬぐった。
逢生の香りがする。
私が好きだと言ったコットンフレグランス。
それ以来、その香りしか逢生はつけない。
なんなの。
ずるすぎる。
言葉がなくても逢生はいつも私のことを想ってくれていた。
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