幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】

第37話 未来の予約

梶井さんの出発は梅雨に入る直前のことだった。
テレビの週間予報では今日までが晴れていて、明日からはずっと曇りか雨。

『見送りに来て欲しい。深月も一緒でいいから』

そう言われて断れるわけがない。
逢生を連れて一緒に空港までやってきた。

「帰りに空港のお土産売り場で美味しいお菓子を買って帰ろうかなー」

そう言うと逢生はいそいそとついてきた。
簡単すぎるっ、簡単すぎるわよ!!
空港内の飛行機が見えるレストランの前で逢生が足を止めた。

「俺、ここで待ってる」

「え?」

「お腹空いたから……」

ぐっとこらえているのが目に見えてわかる。
それは逢生なりに気をきかせたつもりなんだろう。
大人ぶった逢生が可笑しかったけど、その気持ちを汲んでわかったと言った。
ターミナル四階までエスカレーターでのぼると、チェックインカウンター前に梶井さんが待っていた。

「梶井さん」

私の姿を見つけるとサングラスを外して胸ポケットにさした。
サングラスにシャツ、スーツ姿でどこぞのイタリアンマフィアかな?というくらいの貫禄があった。
今の梶井さんはいつもよりセクシーでかっこよく見えた。
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