幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】
「深月は陣川とは違うの。寡黙だし、真面目で女性関係もクリーンだしね」

そう言ってから桑地さんは私に視線をうつす。

「深月への花束もないの?」

「え?えっと……」

楽屋にくるつもりはなかったとはいえ、確かに気が利かなかったかもしれない。

「奏花はきてくれるだけでいい」

「なにそれー!ずるーい。私には楽屋にくるなっていうくせに」

はぁっと渋木さんはため息をついた。

「そうやって騒いでうるさいからだろ」

「深月があんまり話さないから代わりに話してあげているだけよ。留学先でもそうだったわよね?アパートも一緒だったし」

アパートも一緒。
そんなこと全然知らなかった。
桑地さんは気づくと逢生に腕を絡めていた。

「逢生ってば、ちゃんと女の子と仲良くできるんじゃないの」

そんな言葉が口をついて出た。
逢生の周りにいる女性は私だけじゃない。
留学中もああやってお世話を焼いてくれるような人がいたなら、私を留学先まで呼ぶ必要もなかったのに……

「花束を持ってこなくてごめんね。演奏、とても素敵だった。遅くなると親が心配するから帰るわ」

ぺこりと会釈し、さっと顔をそむけた。
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