幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】
それに大人っぽい。

「ねえ、もう一回、聴かせて」

「図々しいガキだな。俺の演奏なんかへたくそで聴けたもんじゃないだろ」

自信があるのかないのか、わからないけど、お兄さんが悩んでいるだけはわかった、
お兄さんの顔が苦しそうに歪んでいたから。

「ううん。上手だよ」

「お前に言われてもな。まあいいか。弾いてやるよ」

そう言うとお兄さんは細い弓を弦に触れさせ、視線を下に向けた。
大きな楽器から出る音は私が思うよりずっとなめらかで途切れることなく―――そして空気が震えていた。

「すごい楽器だね」

逢生が後ろからそっと囁いた。

「うん」

逢生は私と同じ気持ちだった。
最近、私と逢生はうまくいってなかった。
同じピアノ教室に通っていて、逢生だけがどんどん先に行くから、どこかぎくしゃくしていた。
でも今は一人じゃなくて逢生とこの演奏を聴けて嬉しい。
演奏を終えるとお兄さんは得意顔で私を見た。

「どうだ!」

わっーと拍手をするとお兄さんは嬉しそうだった。

「かっこよかった!ね、逢生!」

逢生は無言で小さくうなずいた。

「そっか。かっこよかったか」
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