【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
彼女が無知なのをいいことに酷い扱いをしていた。
幸いなのは彼女は食にしか興味がないのか何も気づいていないことだ。
いや、気づいてはいたのだろうか。
たくさん傷ついてきたことを思うと胸が痛い。

ローズマリーを喜ばせたくて用意したチョコレート。
本当に幸せそうに食べるローズマリーに次々と彼女の口に運ぶ。
味の説明をするとパッと目を輝かせて頬を押さえるのだ。
リオネルは初めての気持ちに翻弄されるのと同時に、ローズマリーの瞳に映りたい、特別な存在になりたいと望んでしまう。
だけど、彼女はリオネルをただの親切な人として認識しているようだ。

(僕も彼女を心から笑顔にできる特別な存在になれたらいいのに……)

恐らく本物の聖女であるローズマリーが出て行ったその後。
バルガルド王国で起こることは安易に想像することができた。

(彼女を下劣な奴らに渡すものか……ローズマリーは必ず守り抜いてみせる)


* * *


(リオネルside end)
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