【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
ローズマリーがカールナルド王国のリオネルに救われてから一週間が経とうとしていた。
カールナルド王国での生活は一言で言えば天国だった。
幸せすぎる食生活にローズマリーは感謝する日々。
特に美味しい料理を作ってくれるシェフたちと、それを手配してくれるリオネルとカールナルド国王にだ。
カールナルド王国で暴言を吐いた時はどうなるかと思っていたが、魔法樹を癒す代わりにローズマリーは夢のような生活を手に入れたのだ。
ローズマリーは毎食、リオネルと食事をすることが当たり前になっていた。
というよりは眠る時と彼が公務に行っている時以外はほとんどの時間を共にしている。
別にそれが嫌というわけではなく、彼といるのは心地いいとすら思う。
それはリオネルがローズマリーの気持ちを一番に考えて、気遣ってくれているからだろう。
クリストフは『俺は忙しい中、お前に会いにきているんだ。喜ぶがいい』と常に言っていた。
その言葉を思い出してローズマリーはリオネルに問いかける。
「リオネル殿下は暇なのですか?」
「暇ではないかな。けれどローズマリーのためなら、どんなに忙しくても会いたいかな」
「…………なるほど」
困ったように笑うリオネル。
どうやら同じ王太子でも考え方はまったく違うようだ。