【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
クリストフが中に入ると大聖堂の中では父の怒号が響き渡っていた。
そこで父がルレシティ公爵に掴み掛かっている姿を盗み見ていた。

(ルレシティ公爵はここにいたのか。どうするか話し合っていたのか)

説明を求める父にルレシティ公爵は教皇たちを責め立てている。

教皇たちは魔法樹が弱ったことでローズマリーにきつく当たり、かなり酷い目に遭わせていたらしい。
魔法樹を回復させるまで食事も水も与えずに閉じ込めていた。
彼らは自分たちの地位を守るために必死だったのだろう。

(なんて可哀想なローズマリー……俺が助けてやれたらよかったのに)

自分がローズマリーにやったことを忘れて、ミシュリーヌや教皇たちを敵視していた。
ルレシティ公爵とミシュリーヌはローズマリーを陥れたのだ。
だからこそ彼女を許してそばに置いておこうとしていたのだろう。

(ミシュリーヌに聖女としての力はない。だからローズマリーが必要だったのだな)

偽物の聖女であるミシュリーヌに魔法樹が癒せるはずもない。
このまま最悪な状況が続けば、魔法が使えなくなるそうだ。
ローズマリーがいなくなった途端、魔法樹の葉は次々と落ちて、色を失っているそうだ。
クリストフは魔法樹を見上げるが、もう別の木のようになってしまった。
このまま魔法樹がなくなればどうなるのか、そう考えてクリストフは口元を押さえた。

(もしかしてもう二度と魔法が使えないということか……!?)
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