【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
あまり感情が動かずに淡々としているローズマリーは神父にも可愛げがないと言われたし、気味の悪い子どもだと言われていた。
唯一、心を許せたのは優しいシスターだけ。
姉のように慕っていた彼女もすぐにどこかに消えてしまったが。

里親も見つからずに、ずっとこのまま窮屈な孤児院で暮らしていかなければならないのかと思っていた時だ。

ローズマリーに聖女の力が発現した。それが七歳の時だ。
宙に浮いている光が魔法樹から作られた魔法の元となる存在、魔力だということに気づいたのは聖女となってからだ。
その力が発覚するきっかけとなった出来事がある。

それは〝食欲〟である。

ローズマリーは孤児院で暮らしながら常々、思っていたことがあった。
『お腹いっぱいになりたい』
『おいしいご飯が食べたい』
孤児院で常にお腹を空かせていたローズマリーは、幼いながら常に空腹だということに絶望していた。

(どうしてわたしはここに生まれてきたのでしょうか。こんなにお腹が空くのは何故でしょうか……)

ローズマリーだけではない。孤児院にいる子どもたちは皆、痩せ細っていた。
でっぷりとしたお腹を撫でながら神父は、子どもたちには見えないところで見たことがない脂が乗った大きな肉を食べている。
想像するだけで涎が滴り落ちてしまいそうだ。
意地悪な神父は子どもたちに満足な食事を与えることはなく、私腹を肥やしていた。

(神父様ばかりずるいです。絶対に……絶対に許しませんから)
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