【受賞&書籍化】国外追放された箱詰め聖女が隣国で子育てしながら満腹&幸せになるまで
──グーギュルギュルギュルッ

地鳴りのような音がホールに響き渡る。
その音と一緒に魔法樹の赤ん坊の泣き声が聞こえた。

 
「あっ……! 忘れていました。申し訳ありません」


ローズマリーは反射的に小さな体を抱え上げて、フラフラとした足取りで今までやっていた通りに魔力を込める。
するとすぐに泣き声が止む。

(はぁ……よかったです)

周囲から音が消えたことに驚き辺りを見回す。
ホールにいる人がローズマリーを見ているではないか。

(また何かしてしまったのでしょうか……ああ、まず暴言を吐いてしまったことを謝罪しなければいけませんね。それから……それからどうするんでしたっけ?)

ズンと感じる体の重み。こうして立っているのもつらい。
もう赤ん坊ではなくほとんど幼児になっていたが、そんなことも気にならないほどにお腹が空いていた。
極限状態なローズマリーは力を振り絞り幼児を抱え上げる。

(もしかしてまだ泣いているのでしょうか。泣き止ませなければ……いや、笑っています。これは夢……?)

嬉しそうに笑う幼児を高い高いしていると、自分の視界がグラグラと揺れていた。
そんな中、こちらにやってきたリオネルが驚いた表情で問いかけてくる。


「まさか……君は〝聖女〟なのか!?」

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