君が最愛になるまで
告白
10月中旬のある日の平日。
私たちが今制作しているゲームの発売が3月に予定されているため、制作の佳境にさしかかる。
これから年末にかけて怒涛の日々を過ごすことになりそうだ。
ゲームの中心ともなる私たちCGデザイナーたちの仕事もかなり忙しくなる。
「真夏ちゃんどう?仕事の進みは」
「ん〜修正してアップしての繰り返しだね」
「だよね。私もそんな感じ。キャラクターの動きが複雑だからそれに合わせてのマテリアルの制作が難しいし」
「分かる〜年末まで怒涛のスケジュールだもんね。徹夜続くぞこれは」
私の隣でパソコンに向き合う真夏ちゃんは目頭を抑えながら天井を仰ぐ。
私たちの前には複数のモニターが装備されており、その画面にはそれぞれキャラクターの全体像や制作画面、さらにはスケジュールなどが表示されていた。
私たち以外のCGデザイナーたちも年末にかけて多忙を極めるため今から忙しなく仕事をしている。
中には魂が抜けたようにぼーっとする人もいたり、今から先が思いやられるが大丈夫だろうか。
「年末休むためにも今から気合い入れてやらないとね」
「確かに!年末は休みたい〜。今から頑張るしかないね」
パソコンに向き直り作業を始める真夏ちゃんを横目に私も深呼吸をして軽く伸びをし、再び作業を始める。
周りが見渡せる席にいる千隼くんも作業をしつつ、質問などに来る社員たちに真摯に答えていた。
仕事をしている時はすごく真面目で憧れる上司だというのに、いざ仕事を終えてプライベートになると問題ありな彼のある意味ギャップのある一面に惹かれる女性も少なくないだろう。
千隼くんが休みの日にも別の女の人と一緒にいたことは本人には確認していない。
プライベートまで口を出すつもりはないし、それは個人の自由だ。
その後もたまにご飯に誘われて仕事終わりに行くことはあるが、毎回それだけで終わり。
誘われることは1番最初の冗談で言われたきり、そういう素振りさえなかった。
だけど少しだけ変わったこともある。
千隼くんからよくメッセージが送られてくるようになった。
仕事以外の連絡も送られてくるようになり、それに返すというのが日課になっている。
どういうつもりで連絡してくるのかは分からない。
「ねぇ紬希ちゃん。ちょっといい?」
「ん、どうしたの?」
「ここ見て欲しくて」
要くんの席に近づいて画面を覗き込むように近づく。
ディスプレイにはキャラクターの制作画面が表示されていた。
「これってこうで合ってる?」
「うん、合ってる。あとね、ここをこうするといいよ」
「わ、ほんとだ!まじか助かるありがと紬希ちゃん」
整った顔立ちの顔面が目の前に広がり思わず顔が赤くなる。
画面を覗き込んでいたため要くんとの距離は自然と近く、私を見つめる柔らかい笑顔が目の前に広がった。
(やば、近すぎた⋯⋯)
慌ててその距離を取ろうと思いあとず去ろうとすると、私の手を要くんがギュッと引き止める。
まさかそんなことをされるとは思ってもおらずギョッと目を見開く。
「顔、赤いよ?なんでかな?」
「え、と⋯⋯」
「俺とこの距離にいるから?」
まるで挑発するように口角を上げて微笑む要くんは悔しいがかっこいい。
私が赤くなっていることに気づいている要くんは余裕そうに微笑んでいる。
傍から見ればただディスプレイを覗き込み仕事の話をしているだけに見えるはずだ。
だけど確実に私たち2人の間には普段と違う甘い空気が流れる。
「紬希ちゃんもそんな顔、俺にしてくれるんだね」
「近かったから!そりゃそうなるもん」
「ふふそっか。あのさ紬希ちゃん。今日の夜一緒にご飯行かない?前言ってた2人で」
「あ⋯そうだね⋯⋯」
「少しだけ話したいんだよね。だから俺に時間くれない?」
「うん⋯分かった」
私たちが今制作しているゲームの発売が3月に予定されているため、制作の佳境にさしかかる。
これから年末にかけて怒涛の日々を過ごすことになりそうだ。
ゲームの中心ともなる私たちCGデザイナーたちの仕事もかなり忙しくなる。
「真夏ちゃんどう?仕事の進みは」
「ん〜修正してアップしての繰り返しだね」
「だよね。私もそんな感じ。キャラクターの動きが複雑だからそれに合わせてのマテリアルの制作が難しいし」
「分かる〜年末まで怒涛のスケジュールだもんね。徹夜続くぞこれは」
私の隣でパソコンに向き合う真夏ちゃんは目頭を抑えながら天井を仰ぐ。
私たちの前には複数のモニターが装備されており、その画面にはそれぞれキャラクターの全体像や制作画面、さらにはスケジュールなどが表示されていた。
私たち以外のCGデザイナーたちも年末にかけて多忙を極めるため今から忙しなく仕事をしている。
中には魂が抜けたようにぼーっとする人もいたり、今から先が思いやられるが大丈夫だろうか。
「年末休むためにも今から気合い入れてやらないとね」
「確かに!年末は休みたい〜。今から頑張るしかないね」
パソコンに向き直り作業を始める真夏ちゃんを横目に私も深呼吸をして軽く伸びをし、再び作業を始める。
周りが見渡せる席にいる千隼くんも作業をしつつ、質問などに来る社員たちに真摯に答えていた。
仕事をしている時はすごく真面目で憧れる上司だというのに、いざ仕事を終えてプライベートになると問題ありな彼のある意味ギャップのある一面に惹かれる女性も少なくないだろう。
千隼くんが休みの日にも別の女の人と一緒にいたことは本人には確認していない。
プライベートまで口を出すつもりはないし、それは個人の自由だ。
その後もたまにご飯に誘われて仕事終わりに行くことはあるが、毎回それだけで終わり。
誘われることは1番最初の冗談で言われたきり、そういう素振りさえなかった。
だけど少しだけ変わったこともある。
千隼くんからよくメッセージが送られてくるようになった。
仕事以外の連絡も送られてくるようになり、それに返すというのが日課になっている。
どういうつもりで連絡してくるのかは分からない。
「ねぇ紬希ちゃん。ちょっといい?」
「ん、どうしたの?」
「ここ見て欲しくて」
要くんの席に近づいて画面を覗き込むように近づく。
ディスプレイにはキャラクターの制作画面が表示されていた。
「これってこうで合ってる?」
「うん、合ってる。あとね、ここをこうするといいよ」
「わ、ほんとだ!まじか助かるありがと紬希ちゃん」
整った顔立ちの顔面が目の前に広がり思わず顔が赤くなる。
画面を覗き込んでいたため要くんとの距離は自然と近く、私を見つめる柔らかい笑顔が目の前に広がった。
(やば、近すぎた⋯⋯)
慌ててその距離を取ろうと思いあとず去ろうとすると、私の手を要くんがギュッと引き止める。
まさかそんなことをされるとは思ってもおらずギョッと目を見開く。
「顔、赤いよ?なんでかな?」
「え、と⋯⋯」
「俺とこの距離にいるから?」
まるで挑発するように口角を上げて微笑む要くんは悔しいがかっこいい。
私が赤くなっていることに気づいている要くんは余裕そうに微笑んでいる。
傍から見ればただディスプレイを覗き込み仕事の話をしているだけに見えるはずだ。
だけど確実に私たち2人の間には普段と違う甘い空気が流れる。
「紬希ちゃんもそんな顔、俺にしてくれるんだね」
「近かったから!そりゃそうなるもん」
「ふふそっか。あのさ紬希ちゃん。今日の夜一緒にご飯行かない?前言ってた2人で」
「あ⋯そうだね⋯⋯」
「少しだけ話したいんだよね。だから俺に時間くれない?」
「うん⋯分かった」