私のお世話がかり
 ◯大学 カフェテリア 午後二時頃
 この時間のカフェテリアは人がまばら。五、六人がテーブルに座り、各々音楽を聴いたりスマホをしたりしている。
 双葉は壁際のテーブルの隅に座り、頭を抱えていた。
 双葉 (グループを組む……)
 双葉 (どうしよう、やりたくないよー! )(今からでも、出るのやめる? でも、単位が……)
 双葉はため息をついた。

 ◯回想 
 中学校のグラウンド、体育の授業中。
 先生が笛を吹いて指示を出す。
 先生「二人一組を作ってくださーい」
 女子生徒たちははしゃぎながら声を掛け合う。一方、双葉はぽつんとたたずむ。
 先生「あら、奇数だった? じゃあ、若松さんは先生と組もうね」

 ◯大学カフェテリア
 双葉 (黒歴史ーっ)
 心の中で絶叫した。
 双葉 (友達はいたけど、風邪とかで休むとひとりぼっちになってたんだよね。まさか、大学生になってもあるなんて)

 ◯妄想
 カフェテリアの白いテーブルに座り、こちらを見ているギャルグループ
 モブギャル「みてあの子、またひとりでいるよ」
 モブギャル男「友達いないんじゃね? かわいそ」
 ぷっ クスクス

 ◯大学 カフェテリア
 双葉 (なんて言われたりしたら……)
 嫌な記憶が双葉を支配する。双葉は頭を抱えながら目の前が真っ暗になった。

 そのとき、温かな缶コーヒーが頬に当てられ、双葉はハッと顔を上げた。

 最上「飲む?」
 双葉「先輩……」
 最上「間違って押しちゃったから」
 差し出された缶にはカフェオレのラベル。
 双葉 (最上先輩はブラックしか飲まないはず……)
 双葉はプルタブを開け、喉を鳴らして飲んだ。
 最上はそれを愛おしそうに見つめる。
 双葉「これ、自販機限定なんですね。おいしいです」
 双葉が微笑むと、最上は控えめに笑った。
 最上「やっと笑った」
 双葉「!」
 最上「昨日の一緒の授業のあとから元気なかったよね。大丈夫?」
 さりげない気遣いが嬉しく、心がホワッとする。
 双葉「だ、大丈夫です。具合悪いとかでは全然……」
 最上「そういうときにはアレだよ」
 最上は双葉の手を取って、両手でふわりと優しく包みこんだ。
 双葉 (わ、わ……?? )
 彼の唇が、双葉の手の甲に落とされそうに近い。
 心臓がバクバクしながらも、西洋風のお姫様みたいで目が逸らせない。
 双葉 (手にキスされるー? )
 最上「落ち込む心に寄り添う。ガチブルー」
 最上は寸止めで言った。
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