私のお世話がかり
 ◯回想 大学のキャンパス内桜並木道
 桜の花びらが散り、スーツの新入生が歩く。
 左右にビラ配りの列ができている。

 部長「漫画研究部です、よろしくね〜!」
 ラフな普段着、笑顔でチラシを配る
 双葉(スーツ)「漫研……」
 ジャケットを着た最上が柔和に微笑む
 双葉「私……あまり漫画知らないんですけど……」
 部長「大丈夫だって!」
 最上「俺たちだって、みんな推してる漫画違うし」ニコッ
 双葉「……」パアア
 双葉 微笑む
 
 双葉(モノローグ)
 ーー大学生になったら、キラキラの青春を送るのを楽しみにしていた。友達とは、学校でちょっと話すくらい。あまり仲良しとは言えなかったから、次こそはっ! って思ってたの。

 ◯回想 高校時代
 夕方、学校からの帰り道、駅構内。
 すれ違う大学生男女が手をつないで笑い合っている。授業を終えて、二人でどこかの街に消えていきそう。夜の街のネオンが輝く。
 高校のブレザーの制服を着た双葉は憧れの眼差しで目で追う。
 双葉(いいなぁ……)
 頬が染まる
 双葉(あんなふうになりたいなぁ……)
 双葉(友達と授業受けて、好きなバイトして、彼氏の家にお泊り行ったりして……きゃーっ///)
 双葉(大学生って言ったらサークルだよね。どこのサークルに入ろうかなぁ)
 月を見上げて希望に満ちる

 ◯(双葉の日常)
 ドッヂボールで残り一人になり、敵に囲まれ涙目の双葉
 テニスボールラケットに当たらず、友達が呆れ顔

 ◯グラウンド 
 サッカーの授業。体操着を着て脇で体育座り。
 双葉(運動神経なさすぎる……)
 がっかりとうなだれる
 双葉(絶対に運動系に入っちゃだめね。文化部も、軽音のようなパリピがいそうなところは避けたい。とすると……)

 ◯教室 休み時間
 地味な男子たちが机を囲んでワイワイ
「なぁ、今日の漫研カラオケアニソン縛りでやんね?」「いいっすね!」

 双葉(漫研ならいいかも! )
 教室の窓際の自分の席でひらめく。

 ー回想おわりー

 ◯居酒屋 夜
 双葉(モノローグ) ーーそう思ってたんだけど。

 店内はお客さんでいっぱい、店員が忙しそうに注文を取っている。双葉のグループも十数人集まってざわざわしている。

 双葉(なんか……雰囲気、地味じゃなくない? パリピ寄りだよこれー!! )
 先輩に囲まれて緊張して服の裾を握りしめる。
 双葉は集まった人たちをキョロキョロ見渡す。 派手な金髪の人、アニメみたいなピンク髪人、恋人同士でイチャイチャしている人がいる。
 双葉(こんなはずじゃなかったんだけど)
 双葉は心で泣いた。

 宮内「新入生は今のところ若松さん一人という残念な感じではありますが、毎年恒例のアレやっていこうと思いま〜す!」
 双葉「アレ……ですか?」
 最上「あぁ……新入生は全員やらされるんだよ」
 小声で双葉に耳打ちする
 双葉「?」
 首を傾げる
 宮内「じゃあオレのお手本な!」
 宮内が紙袋からウィッグを出し、包帯を巻く。包帯にはなぜか血のりつき。
 宮内「ああああ! オレの左手がぁ!! ばっ、爆発しそうだぁぁ!」
 左手をつかんで悶える顔
 宮内「ち、力がみなぎってくるぜ……! そこのお前、殴らせてくれ!!」
 部員たちはギャハハハと盛り上がる
 最上「……新入生恒例、コスプレ自己紹介だ」
 双葉「ーーーー!?」
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