髪の毛の悩みなら公女様にお任せあれ!~ヘアスタイルから始まる領地改革
いつの間にかわたくし、ケイリー様に甘えていたようね……。
今更ながら、ルシアナはケイリーを信頼していたことに気がついた。
「君に偉そうなこと言っておいて、ホントかっこ悪い……。実は僕が一番、自分の容姿を気にしていたって言うのに、そんなことにも気が付かなかったなんてさ」
まだケイリーに、なんと返せばいいのか言葉が見つからないルシアナは、結局話題を逸らしてしまった。
「わ……わたくしも、ケイリー様に言いたいことがありましたわ」
「……なに?」
「ルミナリア公爵領をどうするべきなのかわたくしが迷っていた時、助言をしてくれたでしょう? あの時きちんと御礼を言えていなかったことがずっと、心残りでしたの。改めて、あの時はありがとうございました」
「なんだ、そんな事か。聞いているよ、ルミナリア公爵領のことは。上手くいっているみたいだね」
「ええ、お陰様で」
「ウィンストンはまだ遊学から帰ってきてないのかい?」
「今度の舞踏会には出席出来るように戻ってくるのだと、姉が言っておりました」
ウィンストンが遊学に旅立ってから約三年半。舞踏会の出席をベロニカに手紙で伝えてきた。
ルシアナが社交界デビューするので、今度の舞踏会には母や父、そして姉も参加する予定だ。ウィンストンとは舞踏会で久しぶりの対面となる。
「今から楽しみですわ」
ニィっと笑ってみせると、ケイリーも喉を鳴らして笑いだした。
「これは、自信があるようで」
「ええ。ウィンストンの………じゃなくて、ウィンストン様の言いなりになどならなくても良いくらいに、領地が立て直りつつありますもの。対等に渡り合えるはずです」
カジノリゾート開発などしなくてもいいくらいに、ルミナリアは立ち直っている。
ウィンストンの言う余剰分のりんごなど存在しない。むしろ生産が追い付かなくて、新しくりんごとあんずの木を植えているくらいなのだから。
「街にはりんごの加工場がいくつも作られましたし、今も増やしているところです。りんごが以前のような値で売れるようになったことで、農民も冬を憂うことなく過ごせますし、道行く人の髪型は千差万別! 本当に活気が出たのですよ。ケイリー様にも是非お見せしたいですわ!」
「……うん、僕も見てみたい」
ケイリーの無理やりに浮かべているであろう笑顔をみて、自分の失言に気が付いた。