髪の毛の悩みなら公女様にお任せあれ!~ヘアスタイルから始まる領地改革
左側の髪は傷が隠れるように長く、そして右側はケイリーの美しい瞳と横顔がよく見えるよう短めにして、アシンメトリーに仕上げた。少しだけ癖のあるケイリーの髪質のお陰で、少しオイルを馴染ませただけでもこなれて見えてみえる。
元々の素材がいいだけに、卒倒しそうなほどのカッコ良さ。
以前の、いかにも育ちの良さそうなお坊ちゃんスタイルも悪くはないけど、こちらは少々悪ガキ感がでた。それと以前にはなかった影のある感じが、何とも色っぽくミステリアスな雰囲気を醸し出している。
これはもしかしたら、とんでもないイメチェンをさせてしまったかもしれないわね……。
あまりの出来栄えの良さに見惚れていると、ケイリーが振り返った。
「ルシアナが……なぜこの髪型に仕上げたのか聞いてもいい?」
気に食わないのとはまた違う戸惑いをみせるケイリーに、ルシアナはキッパリと言いきった。
「ケイリー様、見せたくないのなら隠せばいいのです」
「隠す……?」
「髪の毛で隠して化粧で誤魔化すのは、みっともないって思いますか? わたくしは少し耳が大きいのを横髪で隠して、面長な顔面を少しでも丸く見せるように前髪を作って、横にボリュームを持たせることでカバーしていますわ。多くの女性は化粧で、より自分を美しく見せようとしています。それをケイリー様は見苦しい行為だと思いますか?」
じっと見つめるルシアナに、ケイリーはハッとしたように目を見開いた。
「ありのままを受け入れられない自分を恥じないでください。誰にでも欠点や気に入らない点はあるものです。それらをどうにか出来ないかと工夫してカバーして……そうやって自分と折り合いをつけて生きている人がほとんどなのです」
そんな傷跡など気にするな。堂々としろ。
その言葉にケイリーは囚われ過ぎだ。
見られたくないのなら隠して、誤魔化して、見せなきゃいい。
醜い傷跡が顔にあっても、これが私。これがありのままの自分だと、胸を張って言いきれたらどんなに気持ちいいだろう。
でも、みんながみんな、自分をそっくりそのまま受け入れられるわけじゃない。
カッコ悪くなんてない。
隠すことでケイリーが前を向けるなら、楽になれるのならそれでいい。