髪の毛の悩みなら公女様にお任せあれ!~ヘアスタイルから始まる領地改革

27. ケイリー、キラキラオーラを出しまくる

 アイロンのきいたシャツと、白地に金糸で刺繍の施されたベストにジャケット。ケイリーの身体にピッタリとフィットして違和感は無い。

 長らく引きこもり生活を送っていたのに、ケイリー付きの従僕はどこからか、ケイリーの身体に合った正装用の服を持ってきた。

『いつかこんな日が来るだろうと、ご用意しておきました』

 そう言って彼は顔を綻ばせながら、この服を着せてくれた。
 
 こんなにも自分のことを心配して、思っていてくれる人が近くに居たとは。
 自分の至らなさを反省しつつ、今は項垂れている場合では無い。前を向かなければ。

 ケイリーは王宮の長い廊下を歩き、デビュタントボールが開かれる会場へと向かう。
 ホールにはすでに多くの招待客が控えており、使用人たちも準備の為に動き回っていた。
 こんなにも多くの人で溢れ、騒がしい場所へ来るのは久しぶりだ。
 昔は人々の注目の的となる事は苦痛ではなかった。幼い頃からずっとそうだったし、関心を寄せられるのが普通のことだと思っていた。
 ルシアナが指摘していた通り、以前の自分が見た目を気にしたことがなかったのは、その視線の全てがケイリーの容姿を嫉妬も含めて、好意的にみていたからだ。
 自分の見た目に対する劣等感など欠片ほども持っていなかったから、あれほどの自信を持てていたのだろう。

 ドクドクとのた打つ心臓を落ち着かせるために、ケイリーはひとつ息をつく。

 落ち着け。怖くない。大丈夫だ。

 汗で冷える手を、誰かがそっと掴んできた。
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