髪の毛の悩みなら公女様にお任せあれ!~ヘアスタイルから始まる領地改革

 ルシアナが小さく手を振った先には、ふわふわの長いプラチナブロンドの髪をハーフアップにした女性がいた。

「ケイリー様、暫くぶりですね。姉のベロニカでございます。男性の成長期は凄いですね。ルシアナと踊っているのが殿下だと気がつくまでに、時間がかかりました」

 朗らかに笑うベロニカ。その視線は、しっかりとケイリーを捉えている。

 ――彼女はこんな人だっただろうか?

 以前公爵領を訪れた時のベロニカは、妹のルシアナとは対照的にいつもオドオドとしている印象があった。
 誰かの陰に隠れていたい。
 そんな心の内が見え隠れしているような、そんな人だったはずだ。

 しばらく呆気にとられたケイリーだったが、直ぐに笑みを返した。

「僕も今、時の流れに驚いていたところです。以前の貴女も当然魅力的でしたが、今はその魅力が何倍にも膨れ上がったようです。思わず見とれてしまうほどですよ」 
「まあ、ケイリー様は女性を煽てるのもお上手になられて」
「全て本心ですよ」

 三人で和やかに笑い合う中、ベロニカの後ろからオイルがたっぷりと塗られた髪をオールバックにしている男性がやって来た。
 ルシアナが神経を張りつめ、身構えるのが分かった。

「これはこれは、ケイリー殿下ではありませんか。私を覚えておいででしょうか? ベロニカの婚約者のウィンストン・バルドーでございます」
「久しぶりだね。もちろん覚えているよ。遊学から戻ってきたのだとか。いかがお過ごしでしたか?」
「大変有意義な時間をすごせましたよ。今度是非、ゆっくりと話して差し上げたいくらいです」
 
 ……それから、とウィンストンはその視線をケイリーから隣にいるルシアナへと移した。
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