髪の毛の悩みなら公女様にお任せあれ!~ヘアスタイルから始まる領地改革

「ルシアナ嬢も久しぶりだ。まさか王子殿下にエスコートしてもらっていたとは、驚きだよ。君の性格を鑑みれば、エスコートしてくれる相手を探すのに、苦労するんじゃないかと心配していたくらいさ」
「まさかウィンストン様が、わたくしを心配なさってくれる日が来るとは思いもよりませんでしたわ」

 ルシアナとウィンストンは、犬猿の仲という例えがピッタリだ。笑っているのは口元だけで、目で互いに威嚇し合っている。

「ルシアナ嬢には僕からエスコートの申し出をしたんだよ。快く受け入れて貰い、ほっとしているくらいさ」
「そうでしたか。ルシアナ嬢は確かに見た目は悪くはないが……まあ、人それぞれ色んな趣味がありますからね。かく言う私も、周りからは変わり者だと思われていることでしょう」

 この男はまた、呆れるほど愚かだ。なぜこれ程、自分の妻となる人を貶めようとするのか。
 ケイリーとルシアナとが同時に口を開こうとした瞬間、先に声を出したのはベロニカだった。
 
「私を婚約者に選ぶなんて変わっている。という事でしょうか?」

 うっすらと笑んだその顔は、姉妹とだけあってルシアナとよく似ていた。ただしベロニカは普段温和で、顔つきももっと穏やかなことから、ルシアナのそれよりも凄みを感じる。
 一瞬、ベロニカの表情と声音に驚いた様子のウィンストンだったが、すぐにいつものシニカルな笑みを浮かべた。
 
「他にどんな意味がある? 王家と遠縁という以外に、お前に何があるって言うんだ」
「……折角のルシアナの晴れの日を、台無しにしたくはありません。これ以上はやめておきます。ケイリー様、それからルシアナも、また後でゆっくりお話しましょう。失礼致します」

 一礼をしたベロニカは優雅に身を翻すと、人混みの中へと去っていった。

「おい、まて……!」
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